相続税の申告は済んだけど、あとから税務署が来たりしないかな……」 「うちは普通の会社員家庭だし、大金持ちじゃないから税務調査なんて関係ないよね?」
そんなふうに思っていませんか? 実は、相続税の税務調査は、決して他人事ではありません。国税庁が公表している最新のデータによると、税務署が自宅にやってくる「実地調査」が行われた場合、なんと約85%という高い確率で申告漏れが指摘され、ペナルティ(追徴課税)が発生しているのです。
しかも最近は、直接家に来る調査だけでなく、税務署から手紙や電話で確認が届く「簡易な接触」という手法がコロナ禍前の約2倍に急増しています。
今回は、税務署がどこを見ていて、何が狙われやすいのか、その現実と対策を解説します。
そもそも、なぜ税務署に「バレる」の?
税務署が調査に来るのは、あてずっぽうではありません。彼らは「確実に申告漏れがある」という証拠を握った上でやってきます。
国税庁は、亡くなった方の過去10年分以上の銀行口座の入出金記録はもちろん、過去の収入、不動産の所有状況、生命保険の受け取りデータなどをすべて照会する権限を持っています。
「黙っていればわからないだろう」「タンスに隠しておけば大丈夫」というのは、今の時代、通用しないと考えたほうが安全です。
税務調査で最も狙われる財産トップは「現金・預貯金」
国税庁の統計でも、申告漏れを指摘される財産のトップはダントツで「現金・預貯金」です。その中でも、最も多くの人が指摘を受けるのが「名義預金(めいぎよきん)」です。
💡 名義預金とは? 口座の「名義」は子供や孫になっているけれど、実際に「お金を出して管理していたのは亡くなった本人」という預金のことです。
例えば、以下のようなケースはすべて税務調査で「亡くなった親の財産(名義預金)」とみなされ、相続税の対象にされてしまいます。
- 「子供の将来のために」と、親が子供名義の口座を作ってコツコツ貯金していた
- 口座の印鑑や通帳を、親が亡くなるまで自分で管理していた
- 子供自身が、その口座の存在や残高を知らなかった
たとえ親心からの親切であっても、税法上は「生前贈与(プレゼント)」が成立していないと判断されてしまうのです。
税務調査に入られないための「3つの対策」
大切な財産をペナルティで失わないために、今からできる対策をご紹介します。
対策①:過去3〜5年の「怪しい出金」の使い道をメモしておく
亡くなる直前に、入院費や葬儀費用のために口座からまとまった現金を引き出すことはよくあります。税務署は「この引き出した現金はどこに消えた?(タンス預金にして隠していないか?)」をチェックします。何に使ったのか領収書を保管し、メモを残しておきましょう。
対策②:生前贈与は「もらった証拠」を残す
子供や孫にお金を移すときは、必ず「贈与契約書」を作り、お互いが納得して引き継いだ証拠を残します。また、現金手渡しではなく、必ず「子供自身が普段使っている口座」へ振り込みで移動させ、通帳と印鑑は子供自身に管理させてください。
対策③:申告時に「書面添付制度」を活用する
これは税理士に依頼する場合の強力な対策です。申告書を提出する際、税理士が「この財産はこれこれの理由で徹底的に調査して確認しました」という証明書(書面)を添付する制度です。これがあると、税務署がいきなり自宅に調査に来るリスクを大幅に減らすことができます。
正しい申告こそが、最大の税務調査対策
税務調査は、正しく申告していれば決して怖いものではありません。しかし、「これくらいなら大丈夫だろう」という自己判断での申告や、自分で申告書を作ったケースほど、税務署に目を付けられやすいのも事実です。
当事務所では、税務署の視点に立ち、過去の通帳の履歴まで丁寧にチェックした上で、調査のリスクを最小限に抑えた正確な申告書を作成します。もちろん、前述の「書面添付制度」にも対応しております。
「過去のこの引き出し、税務署に突っ込まれないかな……」と不安な方は、申告書を提出してしまう前に、ぜひ一度当事務所にご相談ください。

