住宅の譲渡に関する特例は、主に譲渡益が出た場合(特別控除・軽減税率)と譲渡損が出た場合(損益通算・繰越控除)に分けられます。
ここでは、特に利用頻度の高い以下の3つの特例について詳しく解説します。
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
これは、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる、最も広く利用される特例です。
概要
- マイホーム(居住用財産)を売却したとき、所有期間の長短に関係なく、譲渡所得(売却益)から最高3,000万円まで控除できます。
- 譲渡所得が3,000万円に満たない場合は、その譲渡所得の金額が控除額の上限となります。
適用要件
- 居住用財産の譲渡: 自分が住んでいる家屋とその敷地を売却すること。
- 以前住んでいた家屋の場合、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却する必要があります。
- 家屋を取り壊して土地だけを売る場合も、一定の要件を満たせば適用可能です。
- 特別関係者以外への譲渡: 売却相手が、配偶者や親子、生計を一にする親族などの特別の関係がある人ではないこと。
- 他の特例との制限: 譲渡した年の前々年、前年に、この特例(3,000万円控除)や、特定のマイホームの譲渡損失に関する特例の適用を受けていないこと。
- 特定のマイホームの買換え特例や住宅ローン控除との併用はできません。
10年超所有軽減税率の特例(居住用財産を譲渡した場合)
これは、マイホームの所有期間が長い場合に、税率が軽減される特例です。
概要
- 所有期間が10年を超えるマイホームを売却し、譲渡所得が生じた場合に適用されます。
- 課税譲渡所得のうち、6,000万円以下の部分について、通常の税率(長期譲渡所得:20.315%)よりも低い税率(14.21%)が適用されます。
- 6,000万円を超える部分には通常の長期譲渡所得の税率が適用されます。
適用要件
- 所有・居住期間の要件: 売却した年の1月1日時点で、その家屋と敷地の所有期間が10年を超えていること。
- 3,000万円控除との併用: この特例は、上記の3,000万円特別控除と併用が可能です。併用する場合、譲渡所得から3,000万円を控除した後の金額に対して軽減税率が適用されます。
- 特別関係者以外への譲渡: 売却相手が、上記3,000万円控除と同様に特別の関係がある人ではないこと。
特定のマイホームを買い換えたときの特例(課税の繰り延べ)
この特例は、譲渡益が出た場合に、その課税を将来に繰り延べることができる特例です。税金が免除されるわけではありません。
概要
- マイホームを売却し、代わりのマイホーム(買換資産)を取得した場合に、売却益に対する課税を、買い換えたマイホームを将来売却する時まで繰り延べることができます。
- 売却代金よりも買い換え資産の取得価額が高い場合は、全額繰り延べられます。売却代金の方が高い場合は、その差額だけ課税されます。
適用要件
- 所有・居住期間の要件: 売却した年の1月1日時点で、その家屋と敷地の所有期間が10年を超えており、かつ居住期間も10年以上であること。
- 売却期限: 令和7年12月31日までに売却すること。
- 買換資産の取得期限: 売却した年の前年から翌年までの3年間に、代わりのマイホームを取得すること。
- 買換資産の要件: 買換資産の床面積が50㎡以上など、一定の要件を満たすこと。
- 売却代金の上限: 売却代金が1億円以下であること。
- 他の特例との併用不可: 3,000万円特別控除や10年超所有軽減税率の特例との併用はできません。
譲渡所得に関する特例は要件が複雑で、どの特例を適用するのが最も有利かは、個別の状況によって異なります。特に3,000万円控除と買換え特例は併用できないため、慎重な検討が必要です。
具体的なご状況(売却益の額、所有期間、買換えの有無など)に応じて、どの特例が適用できるか、または最も有利かを知りたい場合は、税理士にご相談されることを強くお勧めします。

