所得税及び消費税調査等の状況(令7)

 令和7年11月に国税庁から「令和6事務年度における所得税及び消費税調査等の状況」が発表されました。この発表の内容をみると、所得税の調査では約50%が間違いを指摘され、平均241万円を、消費税の調査では約54%が間違いを指摘され、平均127万円を追徴されています。

重点調査の対象者

 通常の調査のほか、以下の6つを重点調査の対象者として、積極的に調査を実施しているようです。

富裕層

  • 有価証券・不動産等の大口所有者、経常的な所得が特に⾼額な個人、海外投資等を積極的に⾏っている個人など、「富裕層」に対して、資産運⽤の多様化・国際化が進んでいることを念頭に積極的に調査を実施。

海外投資等

  • 海外投資者や海外資産保有者に対して、国外送⾦等調書、国外財産調書、租税条約等に基づく情報交換制度のほか、CRS情報などを効果的に活⽤し、積極的に調査を実施

インターネット取引

  • シェアリングエコノミー等新分野の経済活動に係る取引や暗号資産(仮想通貨)等の取引を⾏っている個人に対して、資料情報の収集・分析に努め、積極的に調査

無申告

  • ⾃発的に適正な納税をしている納税者に強い不公平感をもたらすこととなるため、更なる資料情報の収集及び活⽤を図るなどして、積極的に調査を実施

消費税の還付申告

  • 申告書の添付書類や保有する資料情報等に基づき厳格な審査を⾏い、申告内容に疑義がある場合には、還付を保留し、実地調査等を⾏うなどして還付原因等の解明・確認を実施

所得税の不正還付

  • 国庫⾦の詐取ともいえる悪質性が⾼い⾏為であるため、警察当局との連携も強め、悪質な不正還付申告書の提出が確認され、詐欺罪等に該当すると判断した場合には、必要に応じて刑事責任追及のための対応を⾏う

申告漏れの多い上位 10 業種

 調査の結果、申告漏れの多い上位 10 業種は以下のとおりです。

  • キャバクラ
  • 眼科医
  • ホステス・ホスト(前年3位)
  • 経営コンサルタント(前年4位)
  • 太陽光発電(前年5位)
  • バー
  • コンテンツ配信(前年7位)
  • ブリーダー(前年8位)
  • スナック(前年9位)
  • システムエンジニア

調査事例

  • 国外からの多額の送金を内容とする国外送金等調書等を活用し、国外不動産の貸付けによる賃料収入等を把握した事例
  • 給与収入のほか、ゲーム機器やスマートフォンなどの転売による収入があるにもかかわらず、所得税が無申告であった者に対して課税した事例
  • 従業員を名義人とした複数のキャバクラ店を経営していたが、営業収益はすべて実質的な所得者である調査対象者に帰属するものとして課税した事例
  • 相続により取得した金地金を譲渡していたにもかかわらず、所得税が無申告であった者に対して調査の上、課税を行った事例

詳細については次の「国税庁HPの関連資料はこちら」からご覧ください。