確定申告期に多いお問合せ事項-その3-

所得税等の確定申告書を税務署に提出したのですが、住民税や事業税の申告はどうなるのですか。

 税務署に所得税の確定申告書を提出した場合、原則として住民税や事業税の申告を別途行う必要はありません。

その仕組みと、ごく稀にある「例外」について分かりやすく解説します。


1. なぜ個別の申告がいらないのか?(ワンストップの仕組み)

日本の税務システムでは、税務署に提出された所得税のデータが、自動的にあなたの住所地の市役所(住民税担当)や県税事務所(事業税担当)へ共有される仕組みになっています。

  • 住民税: 市区町村がそのデータをもとに税額を計算し、6月頃に通知書を送付します。
  • 事業税: 都道府県が計算し、8月頃(第1期)と11月頃(第2期)に納付書を送付します。

2. ただし、例外的に「別途申告」が必要・おトクなケース

基本的には不要ですが、以下のような特殊なケースでは追加の手続きを検討する必要があります。

① 所得税と住民税で「あえて異なる課税方式」を選びたい場合

 以前は「所得税は総合課税、住民税は申告不要」といった選択ができましたが、令和6年度(2024年度)分以降、所得税と住民税の課税方式を一致させなければならないというルールに変更されました。  そのため、現在はこの理由で別途申告するメリットはほぼなくなっています。

② 事業税特有の「控除」を受けたい場合

 個人事業主の方で、事業税の計算においてのみ認められる「事業用資産の譲渡損失」など、所得税の申告書には書ききれない特殊な控除を適用したい場合は、別途、都道府県税事務所への申告が必要になることがあります。

③ 住民税独自の非課税枠などを利用したい場合

所得税は「基礎控除」等の関係で申告不要だが、住民税だけ何らかの公的な手続き(非課税証明書の発行など)のために申告しておきたい、というケースです。ただし、所得税の確定申告をしたのであれば、この心配も不要です。


3. 注意点:申告書にある「住民税・事業税に関する事項」欄

 所得税の確定申告書の第2表には、「住民税・事業税に関する事項」という欄があります。ここは非常に重要です。

  • 16歳未満の扶養親族: 所得税では控除対象になりませんが、住民税の非課税判定に影響するため、ここに記入漏れがあると住民税が高くなる可能性があります。
  • 給与所得以外の住民税の徴収方法: 副業などの住民税を「自分で納付(普通徴収)」にしたい場合は、ここにチェックを入れないと会社に通知が行ってしまいます。
  • 非居住者の特例や寄附金控除: 該当する場合、ここへの記入が住民税の計算に反映されます。