曾祖父などの名義になっている土地でも、長期にわたって占有していた場合、時効取得によって自分の土地にできる可能性があります。
この場合には、取得した土地等の財産の価額(時価)が経済的利益となり、取得した日の属する年分(時効を援用したとき)の一時所得として、所得税の課税対象となります。
また、土地の時効取得は10年または20年で成立するため、相続税の時効となる5年や7年をすでに経過しており、相続税が発生することはありません。
土地の時効取得とは
土地の時効取得は、占有期間が10年または20年以上続いた場合、登記名義人よりも占有者が優先され所有権を取得できるというルールです。一定の要件を満たす必要があり、当事者全員の理解も得なければなりません。
土地を長年にわたって占有していた場合、以下の要件を全て満たすと時効取得が認められます。土地を時効取得する要件を満たしたときは、自分に所有権を移転することができます。
所有の意思をもって占有していること
亡くなった親の遺言書によって土地を取得し、居住用や事業用として占有するなど、自分の土地である(所有者である)との意思を持って占有(自主占有)していれば、所有の意思が認められます。
しかし、土地の賃貸借や使用貸借など、もともと他人に所有権があることを知っているため、長期にわたって占有した場合は所有の意思は認められません。
また、占有者がずっと固定資産税を納めていただけでは、所有の意思は認められないことになります。
平穏かつ公然の占有であること
所有の意思があり、善意で平穏(脅迫や暴力などの違法行為がない)かつ公然(所有者や権利関係者に占有の事実を隠していない)に占有している必要があります。
もしも、土地の時効取得の成立を争う場合は、争う者が占有者の占有は他主占有であること、平穏かつ公然ではなかったことを証明しなければなりません。
占有が一定期間続いていること
土地を時効取得する場合、占有開始時に善意無過失(悪意や落ち度がない)の場合は10年、善意有過失(所有権確認を怠る場合など)または悪意(他の人の土地だと知っていた)の場合は20年 占有が続いている必要があります。
所有者へ時効の完成を主張すること
土地を所有する意思があり、平穏かつ公然と占有していたときは、10年または20年経過後に時効の完成を権利関係者へ主張する必要があります。
土地を時効取得するときの注意点
相続登記は当事者全ての協力が必要
相続財産の土地は時効取得が難しいため、遺産分割協議によって相続を認めてもらうことになりますが、当事者全員の協力がなければ実現しません。占有者以外の相続人が自分の法定相続分を主張したり、占有者に非協力的だったりすると、遺産分割協議は成立しません。
当事者に協力してもらえないときは訴訟が必要
当事者が遺産分割に協力してくれないときは、訴訟することになります。
裁判では、自分が原告となり、ほかの相続人全員を被告としますが、被告側から反論がなければ時効取得の確定判決が出るので、相続登記が可能になります。
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