老後資金のため、iDeCo(確定拠出年金)に加入している方もいるかと思います。
確定拠出年金は、60歳になると受け取れますが、年金方式で5年以上20年以下の期間で受け取るか、または一時金として一括で受け取るかを選択できます。また、年金と一時金を組み合わせて受け取ることも可能です。
年金方式で受け取る場合は雑所得、一時金方式で受け取る場合は退職所得となります。
年金方式で受け取る場合のメリット
年金方式で受け取る場合、他の公的年金等と合算して公的年金等控除をします。
公的年金等の収入の合計額が65歳未満だと60万円まで、65歳以上だと110万円までは税金がかかりません。
一時金方式で受け取る場合のメリット
一時金方式で受け取る場合は退職所得となり、退職所得控除が受けられます。確定拠出年金の積立期間(勤続年数)によって控除額が算出されます。退職所得控除額が大きければ大きいほど、課税される所得金額が減ります。つまり税金が安くなるということです。
勤続年数 | 退職所得控除額 |
20年以下 | 40万円×勤続年数 |
20年超 | 800万円+70万円×(勤続年数-20年) |
会社の退職金と確定拠出年金一時金を受け取る場合
勤めている会社から退職金をもらい、さらに確定拠出年金を一時金でもらう場合、同じ年であれば、勤続年数と加入年数のどちらか長いほうで退職所得控除額を計算し、退職金と確定拠出年金の一時金を合算したうえで税額を計算します。
しかし、年を隔ててもらう場合には、その期間により退職所得控除額の制限を受けることがあります。それぞれの退職金が次のルールの期間内であると、1回目に使った退職所得控除は、2回目には使えないということになるのです。
- 先に退職金、後に確定拠出年金の一時金を受け取る場合(19年ルール)
- 退職金を複数回受け取る場合、前の受け取りから19年が空いていればそれぞれで退職所得控除を適用できる。
- 先に確定拠出年金の一時金、後に退職金を受け取る場合(5年ルール)
- 退職金を複数回受け取る場合、前の受け取りから5年が空いていればそれぞれで退職所得控除を適用できる。
最もお得な受け取り方は、退職金を先に受け取るか確定拠出年金を先に受け取るかによって変わります。
確定拠出年金を先に受け取り、その後勤務先から退職金を受け取る場合
5年ルールを使う方法です。確定拠出年金を受け取ってから5年後に勤務先からの退職金を受け取れば、退職所得控除の調整の制限を受けることなく退職所得控除額の重複計算が可能になります。控除が満額使えるので税金が非常に安くなります。
(注)確定拠出年金の受け取り時に適用される「5年ルール」が「10年ルール」に変更されることが発表されました。この改正は2026年1月1日以降に支払われる退職一時金から適用されます。
勤務先からの退職金を先に受け取り、その後確定拠出年金を受け取る場合
19年ルールを使う方法です。退職金を受けてから20年後に確定拠出年金の一時金をもらえば、退職所得控除の調整の制限を受けることなく退職所得控除額の重複計算が可能になります。控除が満額使えるので税金が非常に安くなります。
税理士よりひとこと
・iDeCo(確定拠出年金)について、一時金がいいか、年金がいいかの質問がありますが、その方の退職金や年金、勤続年数、積立期間によるので、資料等を確認する必要があります。
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