「自宅兼オフィス(事務所)」で仕事をされている方から、「自宅の家賃や電気代って、経費になりますよね? 面倒なので、なんとなく半分(50%)で確定申告してます」という質問があります。
お気持ちはとてもよく分かります。しかし、この「なんとなく半分」は税務調査で最も突っ込まれやすい危険な落とし穴です。今回は、自宅兼オフィスの経費化(家事按分)の正しいルールをわかりやすく解説します。
そもそも「家事按分(かじあんぶん)」ってなに?
個人の生活費(家事費)と、仕事の経費(業務費)が混ざり合っている費用を、一定の基準で仕事の分だけ抜き出す作業のことを「家事按分」といいます。
税法の大原則として、「客観的な根拠がない費用は経費として認められない」というルールがあります。そのため、「なんとなく半分」や「だいたい3割くらいかな」というアバウトな決め方だと、税務調査が入ったときに「なぜ50%なんですか?」という質問に答えられず、経費を取り消されて(否認されて)しまうのです。
税務署を納得させる「正しい按分基準」の作り方
では、どうやって計算すれば税務署に堂々と主張できるのでしょうか? 代表的な2つの基準をご紹介します。
① 【家賃・火災保険料など】は「床面積」で分ける
家賃を分けるときは、自宅の総床面積のうち「仕事専用で使っているスペースが何%を占めるか」で計算するのが最も確実です。
- 例:総床面積 60㎡(2LDK)のマンション、家賃15万円の場合
- 仕事専用に使っている部屋(デスクやPC、書類棚がある部屋):15㎡
- 15㎡ ÷ 60㎡ = 25%
- 経費にできる金額:15万円 × 25% = 37,500円 / 月
💡 ワンポイント
リビングのテーブルで仕事をしているなど「仕事専用の部屋」がない場合は、その部屋の面積に対して「1日のうち何時間仕事で使っているか(時間按分)」を掛け合わせて計算根拠を作ります。
② 【電気代・インターネット代】は「使用時間」や「コンセント数」で分ける
光熱費や通信費は、面積ではなく「仕事で使っている時間や頻度」をベースに考えます。
- 電気代の例: 週に5日、1日8時間仕事をしている場合、1週間(168時間)のうち仕事時間は40時間。 40時間 ÷ 168時間 = 約24% を経費とする。
- インターネット代の例: 仕事とプライベートの利用頻度を考慮し、平日の稼働時間から「60%は仕事で不可欠」として計算する。
⚠️ これはNG!勘違いしやすい注意点
- 水道代やガス代は原則NG
飲食業や美容系など、仕事でどうしても水やガスを大量に使う業種を除き、一般的なデスクワークでは「水道代」「ガス代」を仕事の経費にするのは難しいです。 - 「実家」に住んでいる場合の家賃
実家に住んでいて、自分が親に「家賃(生活費)」を入れている場合、そのお金は基本的に経費にできません(生計を一にする親族への支払いは原則として経費にできないルールがあるためです)。
まとめ:税務調査に怯えないために
家事按分で大切なのは、金額の大きさではなく「私はこういう明確な基準で計算しています」と言い切れる証拠(根拠)があるかどうかです。
ご自身の按分比率を一度決めたら、その計算根拠(面積のメモや、稼働時間の計算式など)をスマホのメモ帳やノートに一言残しておくだけでも、立派な対策になります。
「うちのビジネスの場合、どこまで経費にしていいの?」 「今の計算方法で税務調査を乗り切れるか不安…」という方は、ぜひ一度当事務所までお気軽にご相談ください。あなたのビジネスに最適な、安全で損をしない経費のバランスを一緒に見つけましょう!

