金の売却は申告が必要です
現在金の買取価格は高騰中です。2025年1月には、金の買取価格が過去最高の15,113円を記録しました。金1キロ15,113,000円となります。
また、今月には三菱UFJ元行員の女が貸金庫から金塊約20キロ盗んで逮捕されました。
さて、皆さんがお持ち(?)の金の延べ棒を売却した場合、申告する必要があるのでしょうか。また、申告しなかった場合にはどうなるのでしょうか。
申告がいらないもの
金投資口座や金貯蓄口座などからの利益は、金地金の現物の譲渡とは異なり、実態は金融取引に近いことから、金融類似商品の収益として一律20.315パーセント(所得税および復興所得税15.315パーセント、地方税5パーセント)の税率による源泉分離課税となり、源泉徴収だけで課税が終了しますので、他の所得と合算して確定申告をすることはできません。
申告がいるもの
金の売買は、その取引状況に応じて、事業所得、雑所得、譲渡所得に区分され、金地金の譲渡が営利を目的として継続的に行われている場合には、事業所得または雑所得となります。
一般的に、金地金や金貨の現物売買、純金積み立ては譲渡所得となります。その金地金の所有期間が5年以内なら総合課税の短期譲渡所得、5年を超えるなら総合課税の長期譲渡所得となります。
・譲渡価額-(取得費+譲渡費用)=金地金の譲渡益
・金地金の譲渡益から特別控除50万円を引いた金額が譲渡所得の金額になります。
・長期の譲渡所得ならさらに 1/2が、課税される譲渡所得の金額になります。
よって、金の売買益が50万円以内であれば申告は不要です。
両親や祖父母から相続した金を売ったときなど、購入当時の金額がわからない場合は「売った金額の5%」を、購入時の金額として計算しますので、税金を計算する上で不利になります。このため、金地金や金貨を購入した場合には、領収書や買付明細などの書類を保存しておくことが大切です。
申告しないとどうなるか
金地金等の売買業者から、税務署に対して「金地金等の譲渡の対価の支払調書」というものが提出されます。この調書は、取引額200万円超の金地金等を売買した場合、「住所」、「氏名」、「個人番号(マイナンバー)」「金地金等の種類」、「重量」、「数量」、「支払金額」、「支払確定年月日」を記載されます。
この支払調書は、金地金やプラチナ地金の譲渡所得の申告漏れが多数把握されたことから、金地金やプラチナ地金の譲渡による所得を税務当局が把握できる制度を整備するために、2012年にできたものです。
つまり支払調書で、金の取引があったことはバレバレなんです。では、200万円以下の場合は支払調書がでないからばれないだろうと思いますが、税務署は機会があるごとに金地金業者に調査を行っており、無申告とわかると調査やお尋ね文書により連絡があります。この場合、本税のほか加算税や延滞税がかかるので、無申告はリスクが大きいです。