住宅資金の贈与について

 住宅を取得する際に、父母や祖父母から住宅資金を贈与してもらい、それが一定の要件を満たすと贈与税が非課税になります。

要件

  • 父母や祖父母など直系卑属であること(配偶者の父母や祖父母はダメ)
  • 贈与を受けた人がその年の1月1日において18歳以上であること
  • 贈与を受けた年の合計所得金額が2000万円以下(床面積が40~50㎡なら、合計所得が1000万円以下)であること
  • 平成21年~令和5年まで、この特例を受けていないこと
  • 配偶者や親族などから家を取得していないこと
  • 贈与を受けた年の翌年の3月15日までに資金の全額を充てること
  • 贈与を受けたときに、日本国内に住所があり、日本国籍を有していること
  • 贈与を受けた年の翌年の3月15日までにその家屋に居住すること

必要書類(共通)

  • 受贈者の戸籍の謄本
  • 受贈者や贈与者の戸籍の謄本又は抄本(精算課税の場合)
  • 源泉徴収票
  • 新築に係る工事の請負契約書の写しや売買契約書の写し(新築、中古住宅の場合)
  • 増改築等に係る工事の請負契約書の写し(増改築の場合)
  • 住宅用の家屋に関する登記事項証明書

1,000万円まで非課税の住宅(省エネ等住宅)

次に該当する住宅が対象になります。

  • 断熱等性能等級4以上または一次エネルギー消費量等級4以上(家屋の区分により該当しないものがあります)
  • 耐震等級2以上または免震建築物
  • 高齢者等配慮対策等級3以上

(必要書類)

  • 住宅性能証明書
  • 建設住宅性能評価書の写し
  • 住宅省エネルギー性能証明書
  • 長期優良住宅住宅建築等計画等の(変更)認定通知書の写し
  • 低炭素建築物新築等計画の(変更)認定通知書の写し
  • 住宅用家屋証明書または認定長期優良住宅(認定低炭素住宅)建築証明書

500万円まで非課税の住宅(省エネ等以外の住宅)

  • 省エネ等住宅に該当しない住宅
  • 昭和57年1月1日以降に建築された中古住宅
  • 中古住宅で耐震基準に適合した住宅、または住むまでに耐震改修を行った住宅

(必要書類:耐震住宅のみ)

  • 耐震基準適合証明書
  • 建設住宅性能評価書の写し(耐震等級の評価が等級1,2,3)
  • 既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約が締結されていることを証する書類

500万円まで非課税の住宅(増改築等の住宅)

(要件)

  • 増改築後の住宅用の家屋の床面積が40~240㎡であること
  • 増改築の工事が、自己所有で居住している家屋に対して行われたもので、次のいずれかの書類によって証明できるもの(確認済証の写し、検査済証の写し、増改築等工事証明書)
  • 増改築に要した費用の額が100万円以上であり、費用の1/2以上が居住用部分の工事に使ったもの

申告の方法

 贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日(令和7年2月3日(月)から3月17日(月))までに、暦年課税か相続時精算課税を選択して、確定申告をします。

暦年課税を適用する場合

 通常の贈与税の申告方法です。基礎控除が110万円を適用しますので、住宅資金贈与1,110万円(610万円)までなら、贈与税はかかりません。

相続時精算課税を適用する場合

 相続時精算課税とは、贈与者が60歳以上で、贈与を受ける者が18歳以上であれば、2,500万円まで贈与税はかかりませんが、贈与者が亡くなった時に贈与分を相続財産に加算して相続税を計算するというものです。

 住宅資金の贈与の場合は、贈与者の年齢制限はないので、60歳未満でもOKです。

 令和6年分以降、相続時精算課税に基礎控除110万円ができたので、住宅資金2,610万円まで贈与税はかかりません。ただし、一度この精算課税を選択すると、その後暦年課税は使えなくなります。また、相続があった場合は、基礎控除を除いた分を相続財産に加算しなければなりません。

 暦年課税、相続時精算課税のどちらを選択するかは、相続があった場合の財産が、3,000万円+相続人1人当たり600万円を超えるかどうかにより変わります。相続税がかかる場合は、精算課税を選択するのは得策ではありません。

 住宅資金贈与は、住宅ローン控除を適用される方が多く、必要書類も重複していますので、ローン控除を受ける方は併せて相談をお願いします。

 住宅資金贈与が1,000万円(500万円)以内だったから申告しなくていいということではなく、この特例を使う場合は、必ず申告が必要です。

 令和6年分の申告は2月3日からできます。令和7年3月17日の申告期限を過ぎると適用できませんので、早めに相談してください。