年金制度改正について

 今年の年金制度改正について、概要を説明します。税金と直接は関係ないですが、参考にしてください。

在職老齢年金制度の見直し

 高齢化社会が進む中、65歳を過ぎても元気に働き続けたいという人が増えています。しかし、現在の制度では65歳以降に働いて賃金と年金の合計額が月50万円を超えると、その分だけ年金が減額される仕組み(在職老齢年金制度)があり、働く意欲をそぐ要因の一つになっていました。この減額基準額(支給停止調整開始額)が「月62万円」まで引き上げられます(2026年4月施行予定)。

(計算例)

・賃金(ボーナス含む年収の1/12)45万円、厚生年金10万円の方の場合
  賃金45万円+厚生年金10万円=55万円

(現行)支給停止のラインが50万円のため、55万円ー50万円=5万円
   ※超過分5万円の半額が支給停止となるため、5万円÷2=2万5千円が支給停止

(見直し後)支給停止ラインが62万円となるため、従来停止されていた2万5千円も支給されます
       ※賃金が62万円に達するまで在職老齢年金制度による支給停止はありません。

厚生年金の上限引き上げ

 これまで厚生年金の保険料や将来の年金額を算出する際に用いられる「標準報酬月額」には上限があり、65万円(等級等では第32級)が最高とされてきました。今回の改正では、この標準報酬月額の上限を段階的に引き上げることで、より高所得の人にも応分の保険料を求め、年金制度全体の安定性を高める狙いがあります。

遺族年金の見直し(2028年4月)

 従来、60歳未満の夫は、たとえ配偶者を亡くしても遺族厚生年金の受給対象とはならないケースが多くありました。

 今回の見直しでは、60歳未満の夫も一定の要件を満たせば受給可能となり、男女間の不公平が是正されます。支給期間については、基本的に5年の有期給付が原則ですが、低所得などの生活困難な場合には、最長65歳までの延長支給が認められます。

見直しの影響を受けない方

以下①~④に該当する方は、今回の見直しによって受ける影響はありません。
① 既に遺族厚生年金を受給している方
② 60歳以降に遺族厚生年金の受給権が発生する方
③ 18歳年度末までのこどもを養育する間にある方の給付内容
④ 2028年度に40歳以上になる女性