国税庁から「査察の概要」が発表されました。令和6年分の取り組み内容について概要をお知らせします。
査察調査の概要
- 検察庁に告発した件数は98件、脱税総額(告発分)は82億円
- 消費税事案、無申告事案、国際事案のほか、社会的波及効果の高い事案を積極的に告発
- 一審判決99件全てに有罪判決が言い渡され、13人に対して実刑判決
消費税事案
- 高級腕時計を海外へ輸出販売したように偽装するため、インターネット等で購入した安価な腕時計を用意し高価な腕時計を購入したとする領収証や輸出関係書類を作成して、架空の課税仕入れ及び架空の輸出免税売上げを計上することで、不正に消費税の還付を受け、又は受けようとした。
- 不動産賃貸業を営むグループ法人7社において、居住用賃貸建物の取得に係る仕入税額控除を過大に計上するため、架空の金地金取引により課税売上割合を偽装することで、不正に消費税の還付を受け、又は受けようとした。
- 不正加担者に実際の工事代金を水増しした内容虚偽の工事請負契約書及び請求書を作成させ、課税仕入れを過大に計上することで、不正に消費税の還付を受けようとした。
- ネットオークションやフリマサイトで行ったトレーディングカードの売上げを計上しない方法により課税売上げに係る消費税額を過少に計上することで、消費税の中間納付に係る還付を受けるとともに、納めるべき消費税を免れていた。
無申告事案
- 農作業の請負等に係る収入を得ていたにもかかわらず、売上先に対して事業実態のない複数の関係法人名義の請求書を発行し関係法人名義の預金口座に振込入金させる方法により、課税売上げを秘匿した上で、消費税の確定申告書を提出しないまま法定納期限を徒過させ、消費税を免れていた。
- 動画配信によるサイト運営会社からの使用料収入やネットショップでの商品販売収入を得ていたにもかかわらず、所得税の確定申告書を提出しないまま法定納期限を徒過させ、所得税を免れていた。
- 健康グッズの連鎖販売取引(いわゆるネットワークビジネス)の販売代理店を営み、代理店報酬等を得ていたにもかかわらず、所得税の確定申告書を提出しないまま法定納期限を徒過させ、所得税を免れていた。
社会的波及効果の高い事案
- 脱税指南者が、複数の給与所得者を勧誘した上で、架空の事業所得の損失を計上して給与所得と損益通算することにより、給与所得に係る源泉所得税の還付を受ける不正手段を指南し、これらの者の所得税を免れさせていた。
- 税理士である脱税請負人が、自ら架空外注費の計上先となる不正加担先を用意した上、自身の顧客に脱税を指南し、多額の法人税及び消費税を免れさせていた。
- 人気タレントが所属する芸能事務所が、複数の不正加担先に架空の請求書や業務委託契約書を作成させた上、架空の広告宣伝費や外注費を計上する方法により、法人税及び消費税を免れていた。
- ダイエット目的で人気の漢方内科診療を行う医療法人が、理事長の私的な高級腕時計の購入代金を診療材料仕入高に仮装計上する方法により、法人税を免れていた。
- 相続財産の現金を申告から除外することで、相続税を免れていた事案
- 太陽光発電設備に関連する事業者が法人税を免れていた事案
以上、詳細については国税庁の関連資料をご覧ください。