相続税および贈与税の調査の状況

国税庁より令和5年分の相続税の申告状況、相続税および贈与税の調査の状況が発表されました。

相続税の申告の状況

 令和5年度の全国の死亡者数は 1,576,016 人(前年対⽐ 100.4%)で、そのうち相続税の申告書の提出は 155,740 人(同 103.2%)と、死亡者の9.9%、つまり10人に1人が相続税の申告書を提出しており、相続税は死亡者1人あたり1,930万円となっています。

相続税の調査の状況

 相続税の実地調査は、全国で8,556件、そのうち7,200件(調査件数の84.2%)が間違いを指摘されています。また、7,200件のうち971件(13.5%)が何らかの不正があったということで重加算税が賦課されています。相続税の追徴税額も1件当たり859万円と高額です。

 無申告者は690件、そのうち613件(調査件数の88.8%)が申告漏れを指摘されています。相続税は1件当たり1,787万円追徴されています。

 実地調査以外で、⽂書、電話による連絡⼜は来署依頼などの調査は18,781件、そのうち5,079件(調査件数の27.0%)が間違いを指摘されています。

贈与税の調査の状況

 実地調査件数は 2,847 件全そのうち2,630件(調査件数の92.3%)が間違いを指摘されています。贈与税は1件当たり380万円追徴されています。

  • 調査等の状況から、おおむね申告書提出者の6~7人に1人が、調査を受けたということになります。また、無申告の調査件数は少ないですが、過去最高の追徴税額であり、今後も重点的に実施されると思います。
  • 税務調査の時期は、一般的に言われているのは、申告の翌年または翌々年です。これ以外の時期でも、申告期限から原則5年内であればいつでも調査が入る可能性はあります。
  • 調査の事前通知は税理士が関与していない場合は、代表相続人に電話連絡があります。なお、事前に連絡すると財産を隠されたり、逃亡することが想定される場合、無予告で調査に来ることがあります。